ゾム 熱 小説。 ギレンは生き残りたい

小説…我々だ

ゾム 熱 小説

三日後。 「へぇ、そんな事があったんかぁ」 「凄く他人事やけど、ゾムさん覚えてないんですか?」 「うーん…それが、朧気に楽しかった位にしか覚えてへんねや。 あ、じゃあもしかしてこの状況もソレが原因なんか?」 ゾムは上げていたフォークを下げると、改めて周りを見渡した。 対面上にエーミールが座って食事を取っているのはいい。 問題は横に座る上司である二人と斜め前に座る後輩だ。 隙間が無いほどピッタリと真横に座るグルッペンは先程から「戦争での美学」についてゾムや周りに向かって演説を行っている。 演説に熱が入る傍ら、気付かれないようにこっそり交わされたエーミールとの会話も気付いていないのか、はたまた気付いた上でどうでもいいと放っているのか、止まる気配はない。 目を輝かせて楽しそうに語っているのは別にいいのだが、どうにも距離感が可笑しいと思うのは僕だけやろか? いや、グルッペンはまだ良い方かも知れない。 ゾムを挟んで反対側に同じく隙間なく座るトントンなどは、折角給仕のおっちゃんに頼んで嫌いな野菜を避けて盛って貰ったというのに「好き嫌いはあかんで」と言いながら己の皿から野菜を足してくるし。 斜め前に座る後輩のショッピなんて、ゾムの口が汚れてると気付けば席を立ってナプキンで拭こうと手を伸ばしてくる。 席も離れてるのに、無理に拭こうとするから体が皿やコップにぶつかっていて、いつ倒れるかとハラハラしてしまう。 何より 「僕、3歳児じゃないんやけど…」 こいつ等には目の前のゾムが幼い子供にでも見えているのだろうか。 戸惑いながらも、少しばかり仲間の目や頭を心配してしまう。 この昼食に限らず、暇を見つけては側にいようとする三人にゾムは困惑していた。 三人に挟まれたゾムを哀れに思ったエーミールは苦笑した。 「気にしなくてもいいと思いますよ。 しばらくは続くかと思いますが、それも日常の忙しさに揉まれれば自然と収まるでしょうから」 「せやろか?」 それならええんやけど、と再び食事を開始したゾムは視界に嫌いなトマトが入り顔を顰めた。 どんなに睨んでもトマトが消えることは無く、寧ろ食べて下さいとばかりに中央へと乗せられているのが憎い。 人を気遣う優しいトントンには、今度食害という形でお礼をしようと思う。 赤い塊に嫌気がさしたゾムは、隣のトントンに目を向けた。 少食なグルッペンがそろそろ食事が終わりそうなことをトントンに伝える。 そうすればお目付け役でもあるトントンは、急いで残りを掻きこむだろう。 その集中している隙を狙って素早くグルッペンの皿へと赤い塊を移した。 ある程度残っているので、多少増えたとしても彼は気づかない。 ショッピは何故かゾムに協力的だし。 エーミールは素知らぬ顔をしてくれている。 今のこの状況は、悪戯を仕掛けるには向けられる目が多過ぎるけれど 「まぁ、これはこれで楽しそうやし、しばらくはこれでもええかなw」 元から過保護なところはあったけど。 今ならもっと素直に甘えられるかも知れない。 薄っすらと残った記憶の中に、撫でて貰った掌の感触を思い出すと、 自然と顔が緩み また撫でて貰おうと思えたのだった。 - 49 - [] [] ページ:.

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BLなりちゃの主役は我々だ! ページNO.6@セイチャット

ゾム 熱 小説

「じゃあ大元の元凶は貴方が作った試薬品だと」 「ええ、貴方の推察した通り。 少しばかりゾム君に協力して貰ったんですよ」 「ほんまココで試すのは止めてくれませんかねぇ… 毎度毎度巻き込まれるワイ達の事も少しは考えて欲しいわ」 「まぁ、たまにその悪行に喜々として参加する何処ぞの総統サマも人の事を言えないんですがねぇ?」と言葉を続けたトントンは隣のグルッペンに冷たい視線を送る。 視線を受けた方は「そんな悪い奴が居るのか」と素知らぬ顔をしてほざいているが、若干声が小さくなっているので罪悪感はあるのかも知れない。 それでも彼の中には悪行自体を止めるという選択肢は無いのだろうが… 近い未来、また同じような珍事件に頭を悩ませる己の姿が思い浮かび、トントンは溜息を吐いた。 「で、詳しい所を聞く前に、まずはこれをどうにかして欲しいんだが」 グダグダ話してる余裕もない。 さっさと事態の終息を、とグルッペンは話を切り出した。 「あ、そうだね。 ひとまず先に止めなきゃね。 えっと、じゃあそうだね… 彼と彼がいいかな?」 そう言って目ぼしい二人を見つけると、手招きをした。 呼ばれたエーミールとショッピは首を傾げながらも手招きしたDr.クラレの元へと歩いてくる。 そしてクラレは二人だけにボソボソと耳打ちをしたかと思うと、後は任せたとばかりに二人を当事者の方へと押し出し自分は後ろに下がった。 一方、碌(ろく)な説明もないまま押し出された二人は、何が何だか分からないといった感じだったが、そこは軍人、さっさと思考を切り替えると互いに向き合った。 ショッピがおずおずと頭を下げる。 それに応えるようにエーミールは手を伸ばすとショッピの頭を優しく撫で始めた。 「ショッピ君はいつも偉いなぁ」 エーミールが幾分大きめの声で褒め言葉を言って視線を当事者の方へと向けると… 「…」 足を止めて目を見開き、ジーっとこちらを見つめるゾムの姿があった。 ゾムの急な変わりようにコネシマ達も手を止めたようで、静まりかえった空気の中、その場の全ての視線がエーミールとショッピ、ゾムの三人にそそがれた。 そんな視線にもゾムは一切動じる事なく、ひたすらエーミールとショッピを見ている。 ゾムの見つめる視線には、まるでショーウィンドウに飾られた玩具を欲しがる子供のような、物干しそうな熱が籠もっているように感じた。 その様子にピンとくる物があったのか、エーミールはニコリと笑みを見せると先程よりも声のトーンを上げて喋りだした。 「ショッピ君はほんま偉いなぁ! 私、知ってますよ。 仕事を任せればきちんとやり遂げるし、真面目だから団体での訓練の後に時間を作っては自主訓練までしてはるって! 伸びしろもあるから、頑張った分技術面も伸びてきてるしね。 ほんま感心するわぁ!」 聞こえが柔らかくなるように堅苦しい敬語を崩し、これでもかって程ショッピの事を褒めちぎると、乗せていた手を大きく動かしグシャグシャと頭を撫でた。 物欲しげな子供に伝わるように大袈裟に、子の意識を惹きつけるようににこやかに。 一連の動きをジーっとゾムは見つめていたかと思うと、そろそろと近付いてきた。 そしてショッピの横に並ぶように立つと、フードを落として頭を垂れ、押し付けるようにエーミールへと差し出した。 その様子は、あたかも僕も撫でてと言うように、彼等の瞳には映った。 そんな可愛らしいゾムの仕草にエーミールは微笑むと、そっと手を伸ばし撫で始めた。 「ゾムさんも、いつもありがとうな。 ゾムさんが他国に赴いては情報を取ってきてくれて、邪魔な上層部があれば暗殺してきてくれるから私達もスムーズに仕事を進められるんや。 どんな高難易度の任務もこなしてくれると安心して任せられるのも、ゾムさんだからこそやで」 ゆったりと優しく撫でてやると、気持ち良さそうでいて、何とも嬉しそうな蕩(とろ)けた顔を見せた。 こんな大きな子供も、弟もいないのに。 何かが目覚めそうになった。 心の柔らかいところがくすぐられる。 「ほんま頼りにしてるで」 何も言わない代わりに、もっと撫でてと言うようにゾムは頭を掌に押し付けると、催促するようにエーミールの服の端をクイクイと引っ張った。 気付いたエーミールに再び撫でられ満足そうに微笑むゾムに、見ている者の母性本能がくすぐられてしまう。 撫でてる側も満更でもない顔をしていて、それがまた可笑しかった。 - 46 - [] [] ページ:.

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ライアテア

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三日後。 「へぇ、そんな事があったんかぁ」 「凄く他人事やけど、ゾムさん覚えてないんですか?」 「うーん…それが、朧気に楽しかった位にしか覚えてへんねや。 あ、じゃあもしかしてこの状況もソレが原因なんか?」 ゾムは上げていたフォークを下げると、改めて周りを見渡した。 対面上にエーミールが座って食事を取っているのはいい。 問題は横に座る上司である二人と斜め前に座る後輩だ。 隙間が無いほどピッタリと真横に座るグルッペンは先程から「戦争での美学」についてゾムや周りに向かって演説を行っている。 演説に熱が入る傍ら、気付かれないようにこっそり交わされたエーミールとの会話も気付いていないのか、はたまた気付いた上でどうでもいいと放っているのか、止まる気配はない。 目を輝かせて楽しそうに語っているのは別にいいのだが、どうにも距離感が可笑しいと思うのは僕だけやろか? いや、グルッペンはまだ良い方かも知れない。 ゾムを挟んで反対側に同じく隙間なく座るトントンなどは、折角給仕のおっちゃんに頼んで嫌いな野菜を避けて盛って貰ったというのに「好き嫌いはあかんで」と言いながら己の皿から野菜を足してくるし。 斜め前に座る後輩のショッピなんて、ゾムの口が汚れてると気付けば席を立ってナプキンで拭こうと手を伸ばしてくる。 席も離れてるのに、無理に拭こうとするから体が皿やコップにぶつかっていて、いつ倒れるかとハラハラしてしまう。 何より 「僕、3歳児じゃないんやけど…」 こいつ等には目の前のゾムが幼い子供にでも見えているのだろうか。 戸惑いながらも、少しばかり仲間の目や頭を心配してしまう。 この昼食に限らず、暇を見つけては側にいようとする三人にゾムは困惑していた。 三人に挟まれたゾムを哀れに思ったエーミールは苦笑した。 「気にしなくてもいいと思いますよ。 しばらくは続くかと思いますが、それも日常の忙しさに揉まれれば自然と収まるでしょうから」 「せやろか?」 それならええんやけど、と再び食事を開始したゾムは視界に嫌いなトマトが入り顔を顰めた。 どんなに睨んでもトマトが消えることは無く、寧ろ食べて下さいとばかりに中央へと乗せられているのが憎い。 人を気遣う優しいトントンには、今度食害という形でお礼をしようと思う。 赤い塊に嫌気がさしたゾムは、隣のトントンに目を向けた。 少食なグルッペンがそろそろ食事が終わりそうなことをトントンに伝える。 そうすればお目付け役でもあるトントンは、急いで残りを掻きこむだろう。 その集中している隙を狙って素早くグルッペンの皿へと赤い塊を移した。 ある程度残っているので、多少増えたとしても彼は気づかない。 ショッピは何故かゾムに協力的だし。 エーミールは素知らぬ顔をしてくれている。 今のこの状況は、悪戯を仕掛けるには向けられる目が多過ぎるけれど 「まぁ、これはこれで楽しそうやし、しばらくはこれでもええかなw」 元から過保護なところはあったけど。 今ならもっと素直に甘えられるかも知れない。 薄っすらと残った記憶の中に、撫でて貰った掌の感触を思い出すと、 自然と顔が緩み また撫でて貰おうと思えたのだった。 - 49 - [] [] ページ:.

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