ビーナス の 誕生。 サンドロ・ボッティチェリ

ボッティチェリ代表作「ヴィーナス誕生」「春」を解説!三美神とは?

ビーナス の 誕生

「春」にならぶボッティチェリの代表作 「ヴィーナスの誕生」は「春(プリマヴェーラ)」とならんでウフィツィ美術館が誇るボッティチェリの代表作。 英語では「 The Birth of Venus 」と呼ばれます。 愛の女神ヴィーナスは、時の神クロノスによって切り取られた天空の神ウラノスの男根が海に落ちたときにできた泡から生まれたとされています。 ボッティチェリの「ヴィーナスの誕生」では、厳密には「誕生」ではなく、ギリシャのキュピロス島に流れ着いたシーンが描かれています。 「ヴィーナスの誕生」鑑賞のポイントを紹介 「ヴィーナスの誕生」には、主役のヴィーナス以外にも 3 人の登場人物が描かれています。 また、ボッティチェリはヴィーナスやその他のモチーフを独特の方法で描きました。 それらを解説しながら、「ヴィーナスの誕生」の鑑賞のポイントを見ていきましょう。 何が描かれているのか 中央に描かれているのは、ホタテ貝にのって島へ流れ着いた愛の女神ヴィーナス。 生まれたばかりなのに成熟した女性の姿をしています。 画面の右側で、ヴィーナスを陸地へと吹き寄せているのは西風の神ゼピュロスとその妻クロリスです。 そして、画面の右側で女神を迎え入れようとしているのは季節の女神ホーラーだと言われています。 どのように描かれているのか 主役のヴィーナスをよく見てみると、首や胴体が異常に長く、まるで宙に浮かんでいるかのようです。 また、人物たちの影は描かれておらず、陸地の木々はあまりに細く、海上の波はパターン化され、薔薇やホタテ貝など随所には金色が用いられています。 ボッティチェリは、女神の誕生を写実的に描くのではなく、装飾的に描くことで神々の国の神秘性を強調しています。 「ヴィーナスの誕生」はなぜ描かれたのか 「ヴィーナスの誕生」は、ボッティチェリのもう一点の代表作「春」同様に、様々な解釈がなされてきました。 「ヴィーナスの誕生」にはどのような意味が込められているのでしょうか。 その解釈の一部をご紹介します。 結婚あるいは誕生のお祝いのため 「ヴィーナスの誕生」がメディチ家のメンバーのいずれかによって注文されたことはほぼ確実といわれています。 ヴィーナスが司る「愛」やホタテ貝や描かれた植物が象徴する「豊穣」「多産」のイメージから、結婚、あるいは子の誕生を祝うために描かれたと推定され、誰のための注文かということで議論が分かれています。 そのため制作年代も 1477 年頃、あるいは 1482 ~ 1484 年頃のいずれか定まっていません。 メディチ家の統治を賛美するため 画面右側の背景に着目するとオレンジの木が豊かな果実を実らせています。 オレンジは、 14 世紀以来、メディチ家の象徴となってきました。 また、花の神フローラは華の都フィレンツェを、背景に描かれた月桂樹は、当時のフィレンチェの事実上の統治者ロレンツォ・イル・マニフィコを象徴するとも言われ、メディチ家統治の下で栄えるフィレンツェへの賛辞とも読み取れるのです。 古代の美術と競うため ボッティチェリらルネサンスの芸術家たちは、みな古代の美術を規範とし、またそれに勝ろうと研鑽を積みました。 『ヴィーナスの誕生』も、古代ギリシアの有名な画家アペレスが描いたという同主題の絵画をボッティチェリ流に描いたものと言われています。 なお、ヴィーナスのポーズは古代の彫刻「恥じらいのヴィーナス」から借用されています。 カバネルが描いたバージョンも人気 「ヴィーナスの誕生」は、ボッティチェリのものが最も有名ですが、ティツィアーノほか多くの画家たちによって描かれたモチーフでもあります。 なかでも、 19 世紀フランスで活躍したアレクサンドル・カバネルは、まさに泡から生まれ出たヴィーナスを海面に横たわる妖艶な姿で描き人気を集めました。 ボッティチェリによる高貴なヴィーナスとカバネルの扇情的なヴィーナス、どちらがお好みでしょうか。 色々な「ヴィーナスの誕生」を見比べてみるのも面白いかもしれませんね。

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アレクサンドル・カバネル

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「 ヴィーナスの誕生」のその他の用法については「」をご覧ください。 『ヴィーナスの誕生』 イタリア語: La Nascita di Venere 作者 製作年 1483年頃 種類 キャンバスに 寸法 172. 5 cm 67. 6 in 所蔵 、 『 ヴィーナスの誕生』(ヴィーナスのたんじょう、: La Nascita di Venere は、期のの画家の作品で、キャンバス地に描かれたである。 縦172. 5cm、幅278. 5cmの大作で、現在、のが所蔵し、展示している。 この絵は、で語られている通り、()が、成熟した大人の女性として、より誕生し出現した様を描いている。 同名の絵画を描いた画家としては、他に、、などがいる。 制作の背景 [ ] この大作は、頃かそれ以前に、『春の寓意』同様、ロレンツォ・ディ・ピエルフランチェスコ()の別荘カステッロ邸(Villa di Castello)を飾るために描かれたと考えられている。 幾人かの研究家は、ディ・ピエルフランチェスコの依頼で描かれ、が言及している絵画は、にある絵ではなく、失われてしまった別の絵画であったろうと推測している。 また幾人かの専門家は、この絵は、(にで暗殺された)の愛人に対する愛を祝福する目的で描かれたと信じている。 美女ヴェスプッチは、地元の伝統ではヴィーナスの誕生地だとされる海辺の町に住んでいた。 何がボッティチェッリにインスピレーションを与えたかはともかく、この絵は、詩人の『詩篇』において、また同じく詩人のによる『』や『祝祭暦』(Fasti)に見られる描写と明らかな類似性を持っている。 古典的な女神ヴィーナスは、水より出現して貝殻のうえに立ち、霊的情熱の象徴である(西風)に乗って、岸へと吹き寄せられている。 季節の女神であるたちの一人が、花で覆われた外套を女神へと差し出している。 ヴィーナスのポーズは、当時発見された『』タイプの古代彫刻から得たものである。 この絵画効果は、の宗教的主題に従って、大部分の絵画が描かれていた当時の時代と場所を考え合わすと、紛れもなく的である。 ボッティチェッリの多数の「異教的」作品が焼き尽くされた、の異教撲滅の「」の炎を、このカンバス画が逃れえたということは驚きである。 ボッティチェッリはと大変親しい間柄にあり、友情とメディチの権力のおかげで、『ヴィーナスの誕生』はサヴォナローラの焚火や教会勢力の非難から守られたのである。 ヴィーナスの体や細かい補助効果は、やの作品に見られる厳格な古典的リアリズムとは一線を画している。 それが最も顕著なのは、ヴィーナスの首は現実にはあり得ないほど長く、左肩の傾きは解剖学的にあり得ない角度をしている点である。 そういった描写はただ絵画において美を強調するためだけであり、後の様式であるに通じるものがある。 古典からの着想 [ ] の壁画 ボッティチェッリは遥か昔に失われたの名画について、のが著した記述に着想を得た作品群を描いており、『ヴィーナスの誕生』はそのうちの一つである。 によって描かれた古代の絵画作品は『』(Venus Anadyomene)と呼ばれている。 アナディオメネとは「海からの誕生」を意味する。 これがボッティチェッリの絵画の題名として使われており、『ヴィーナスの誕生』という題名はに入って初めて広く知られるところとなった。 『ヴィーナスの誕生』はのアフロディーテ像と類似点が多い。 当時まだは未発見でボッティチェッリはポンペイの壁画をついぞ見なかったが、の記述にあるアペレスの絵画は当時すでに有名であり、それをローマ風に再現したものは見たことがあったかもしれない。 ギリシア・ローマ古典時代には、貝は女陰の(メタファー)であった。 ボッティチェッリのヴィーナスが取るポーズは、メディチ家が収集していたギリシア・ローマ古典時代の大理石の彫像を連想させる。 ボッティチェッリはそれら、メディチ家のコレクションを鑑賞する機会があった。 文芸作品 [ ] の小説『』(1963年)の第7章で、シニョール・マンティッサが改装中のウッフィーツィ美術館からこの絵を盗もうとする。 この小説の登場人物たちは全員、それぞれの「V. 」を追い求めている。 マンティッサが愛したこの絵の中の「彼女」もまた「V enus」(ヴィーナス)である。 大衆文化への影響 [ ] 広告宣伝や映画など、において大量の『ヴィーナスの誕生』の複製や改変が作成されている。 以下にはそのうち有名なものを挙げる。 映画作品 [ ]• 1988年の映画『』で、をビーナスとし、より詳細に描かれた。 監督の映画『肉体の悪魔』(1971年)の中で、フランス国王ルイ13世は、この絵を模して、悪趣味なヴィーナスの仮装をして踊る。 映画に登場した偽者の本『聖なる女』(Sacred Feminine)の表紙は『ヴィーナスの誕生』のクローズアップである。 メディア [ ]• 画像編集(いわゆる)のとして有名な は、バージョン10まではスクリーン画面にはこのヴィーナスをの集合体として模した画像が表示されていた(ソフトウェアの箱パッケージの画像にも、同じ像があしらわれていた)。 の開会式イベントでは、 出身の著名なであるが、貝殻の中からこのヴィーナスに扮して登場した。 その他 [ ]• 南部に本作品のモデルとされている場所が実在する。 本作品に見られる海岸線の描写については、実際の海岸線との類似性が見受けられる。 の裏側には、ヴィーナスの顔が彫られている。 脚注 [ ] [].

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ボッティチェリ (1445-1510) イタリア 初期ルネサンス、フレンツェ派 ヴィーナスの誕生 The Birth of Venus 1485-86, Tempera on canvas, 172. 5 x 278. 5 cm, フィレンツェ ウフィツィ美術館 the Galleria degli Uffizi , Florence ルネサンス期、イタリア人をとらえたのは、古代ギリシャ・ローマの栄光であり、その神話であった。 イタリア人たちは、古代ギリシャ・ローマの神話の中に、何か深い、神秘的な真実があると信じた。 海から現れるというヴィーナスの物語は、美の神聖なシンボルとなったのである。 彼の描くヴィーナスは、首が長かったり、肩が極端に落ちていたり、左腕が不自然だったりと、マザッチョが到達した正確さに欠ける。 しかし、全体では全く不自然さを感じさせない。 それほど美しい絵なのである。 ボッティチェリが大切にしたかったのは、写実的な、科学的な正確さではなく、どこまでも優美で繊細な愛の女神である。 それは科学とは対立する、自然の姿なのである。 『ビーナスの誕生』は、天の国から「愛」という贈り物を持ってきたヴィーナスが、我々の国の岸辺へと漂い着いた姿なのである。 以下は登場する神々である。 ヴィーナスは貝に乗って、バラの花に囲まれている風の神ゼフュロスとが、岸辺へと運んでいる。 岸へ上がろうとするヴィーナスに、妖精が彼女に赤いローブを渡している。 左端にいるのは、西風の神ゼピュロスとニンフのである。 西風は強く息を吹き、クロリスは柔らかなため息で、ヴィーナスを岸辺へと運ぶ。 右端は果樹園のある岸辺である。 ギリシャの理想郷ヘスペリデス、黄金のりんごの園である。 そこでは4人の姉妹がいて、この果樹園を守っている。 ニンフはギリシャ神話では、ヴィーナスに仕える三人のホーラーたち(季節と盛衰と秩序の女神)の一人で、季節の女神である。 彼女の華やかなドレスと、ヴィーナスに差し出しているローブには、ヒナギク、桜草、ヤグルマギクなど、「誕生」の主題にふさわしい、春の花が刺繍されている。 季節の女神が付けている花輪は、ヴィーナスの聖木である青みがかった暗い緑の天人花である。 腰に巻いているピンクのバラは、ボッティチェリのもうひとつの代表作『春』に出てくるフローラのようでもある。 | | | |.

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